受容の効能
先日、社外のとある研修で、ブレインストーミングを行いました。
課題に対して、解決策を出し合うというものです。
・グループで集まって、できるだけたくさんのアイデアを出して、1つにつき1枚のカードに書き出す。
・これを、類似するグループに分類して、サブタイトルをつける。
・最後に、グループ分けしたカードを模造紙に貼り、関係図などを作成する。
という感じのものでした。
KJ法などと呼ばれるもののようですね。
そこで実践する際、講師から事前に
「どんな意見が出ても、絶対に批判はしないでください」
との注意がありました。
ブレインストーミングでは、参加者を萎縮させず、とにかくたくさんの意見を出すことに意義があるそうです。
やってみると、本当に色々な意見が出てきます。
一見して意味が分からないもの、実現困難そうなものもたくさん。
でも、バックグラウンドの違う数人が集まって多様な意見を出すと、各自がお互い思ってもみなかった観点が示されます。
否定せず、受容しながらも最後にグループの意見をまとめるとなると、簡単にはまとまりません。
「これはどういうもの?」
というアイデアについて、発案者に背景を聞いたり、趣旨を確認したり、突っ込んで聞くことになります。
聞かれた方も、批判されない前提なので、実はこんなわけで思いついた、とか、褒められた話じゃないがこんな問題を経験したのでそう思った、とか、普通なら出てこないかもしれない話が色々出てくるのです。
「普通ならこうしがちだけど、このアプローチだと〇〇には渋られるので、実は△△した方がいい」
「突拍子ないように見えるけど、実は〜〜」
メンバーでそうした考えを共有して、画一的でない観点から認識を深められるのです。
机上の議論ながら、最後には、「これ本当にやってみたらいいんじゃない?」と思えるような、ワクワクする企画が出来上がりました。
否定せず聞いてみるって大事だな、と思った出来事でした。
思うに、議会制民主主義って、本来こういうことじゃないでしょうか。
多数決で押し切る方法や、一人のリーダーが舵を取る方法は、決定は早いかもしれません。
会社では通常は社長が即時に決定を下し、取締役会なども、予め多数決の方法が決まっていて、少数の反対者がいてもとにかく決議をします。
生き馬の目を抜くビジネスの世界では、即断即決こそが運命を左右する部分もあるでしょう。
でも、それでは少数者の意見はそもそも出てこなかったり、萎縮してものが言えない人がいたりするかもしれません。
最終的には多数決になるとしても、そこに至るまでアイデアを出し合って議論を尽くす。
特に、少数者の代表とも言える、野党の意見はきちんと聞く。
そういう姿勢は政治には不可欠なんじゃないかと感じます。
そうして見ると、野党の質問時間を減らそうとかいうのは本当に幼稚な、「いいアイデア」が沸くのを自ら阻止するような愚かな行動でしかないと、最近の与党の動向を見ていて思いました。