呪いの言葉と戦ってみる
過去にもちょっと怨霊やらお祓いやら呪術めいた言葉で記事を書いたことがありましたが、人を窮屈な価値観に縛り付けようとする言葉や行動って、色々ありますよね。
さらば苦労の怨霊〜「私も苦労したからあなたも苦労せよ」問題 - 極楽ワンオペ育児
そういったものを「呪いの言葉」と呼び、その「解きかた」を説く本が、最近ちょっと話題になっています。
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これ、私は出版直後に書店に買いに行ったのですが、そのとき社会学の棚にあった*1この本が、
つい最近同じ書店に行ったら店頭平積みされていました。
わお。
ここで紹介される呪いの言葉は、例えば「嫌なら辞めればいい」。
そう行った労働環境に対して「辛い」「嫌だ」と声を上げた人に対して投げかけられるこの言葉です。
嫌なら辞めろという人は、最短解決を提示しているだけだと言うかもしれませんが、実のところ、これって暗に「嫌なら(文句なんか言わずに)辞めればいい(どうせ辞められないんだろう?だったら我慢しろよ)」という隠れた圧力を投げかけているにすぎません。
受けた方もこの言葉によりなぜか 、(そりゃ辞めれば終わりだけど、氷河期にやっと入れた会社で、同業は大体どこもこんな風だって聞くし今更他業種なんて厳しいし…)と、労基に行くとか労組に入るとか弁護士に相談とか同僚に相談とか、使えそうな諸々の有効な手段に目を向けられなくなり、辞めるか辞めないかを考えることになってしまいがちです。
まさに呪い。
この本は、そうした呪いの言葉の正体を看破して固定観念を取り払う、タイトル通り「呪いの言葉の解きかた」を教えてくれる本です。
昨今の労働法制(高度プロフェッショナル制度)の問題点についての解説も詳しいですし、
逃げ恥などのドラマの話、ジェンダーの話などもあります。
また、呪いとは逆に、人を鼓舞する言葉についても言及されているので、読んでいるととても勇気づけられ、暖かい気持ちになります。
とってもオススメ。
でね、もうすぐ選挙なわけですが、選挙が近づくとすごくよく目にするのが「野党はだらしない」「野党は対案を出さずに文句ばかり」「野党はあれこれ言うけど財源どうするんだ」…。
どなたが流しているのか知らないのですが、これってすごく違和感があります。
こういうこと言って、野党に随分細かな正しさ優秀さを求めている人たちって、今まで与党に対して同じレベルの正しさ優秀さを求めて糾弾してたりしました?
私、あいにく見たことないんですけど。
これ普通に考えて、政治に不満があるなら、今3分の2以上持って(しかも自党の都合で好き勝手して)る与党に言うのがスジであって、野党に言っても仕方ないのでは。
年金問題なんかでも、「年金だけじゃ足りないのは前から分かってたんだから、今更騒ぐな。野党は財源示せ」って人もいますけど、
そもそもあれ、だいぶ前から今の制度じゃ足りなくなるって批判してたのが野党じゃなかったですか?それを100年安心なんて誤解を招く言葉でごまかしてきたのが与党なんじゃないですか?
足りてないんだから、財源作りましょう、無駄遣いやめましょうというのが野党提案なんですけど…。
戦闘機爆買いとか国有財産大幅値引きとか特定私学に多額の補助金とか、そういうところを批判するでもない人たちが上記みたいな呪いの言葉を発しているのは何のためなのか…。
考えてみてください。
さて、そんな呪いの言葉の解き方、実は当初Twitterで生まれたものでした。
書籍の方にも、このサイトに言及があります。
人を窮屈に縛りつける呪いの言葉にどう切り返して呪いを解くのか、それを大勢の人が考えてハッシュタグで投稿したものをピックアップして紹介しています。
当初はタグが #呪いの言葉の解き方 だったんですね(書籍ではひらがな)。
呪いの言葉と直接戦うのは、実際やってみると結構難しい。
既に相手がこちらに不利な土俵に誘い込んでるので、真面目に返そうとすると泥仕合になっちゃうんですよね…。
そもそも何故こんなこと言うのかな?というところから考えた方がいいのかもしれませんね。
…もう一回読んで考えようっと。
社会は皆で作るもの。自分にできる範囲で、ちょっと頑張ってみようと思います。
2019.7.1重複する表現を修正しました。