村田沙耶香『マウス』を読んだ
以前『コンビニ人間』を読んだら面白かったのと、よんばばさんのレビュー(以下参照)に惹かれたのとで、少し前に『マウス』を読みました。
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コンビニ人間には、ちょっと常軌を逸した物語ながらもある種の「リアルさ」を感じたのに対し、『マウス』の方は身近で起きていてもおかしくなさそうな物語の中に主人公の「大冒険」を感じました。
なぜだろう、主人公の「臆病さ」をこれでもかと表現したからなのかな、ほんのちょっとの逸脱が、ものすごい飛躍に見えてくるのです。
面白いなあ。村田さんの表現力がほんとにすごい。
私がもしこのクラスにいたら、初日は主人公に声かけたかもしれないなあ…そして1週間と経たずにそこからも浮いて、教室の外に世界を作ってしまいそう。
そして誰かの性格が急に変わったとか教室のパワーバランスが変わったとかいう変化に全く気がつかないまま卒業してそう。
なんて想像もしながら楽しく読みました。
人間の内側にある色々なものを、私はどうやら感じ取るのが得意でないような気がするのだけれど、なんとなく、著者もそんなに得意ではないのでは?不得意ながらにめっっちゃくちゃ興味持って観察した結果コンビニ人間やマウスが描けたのでは?という気がします。
だって、人の気持ちを読み取るのに長けている人って、すごく器用に人間関係築けると思うんだもん。
それで器用に世渡りできちゃうひとはここまで不器用な人間の内側をじっくり見ない気がするんだもの。
って、どうなんだろうなあ。
村田沙耶香という人が一層気になる一冊でした。