扱いが小さい割に気になる原発ニュース。ゲル状の塊って何?
確定申告が終わりまして、ようやく心置きなくブログが書けるというものです……ふう。
さて、タイトルの件ですが、これってテレビのニュースではどんな扱いでした?というか、これ皆様ご存知でした?
よかったらちょっと教えて欲しいです。 うちにはテレビがないので。
私は今日職場で新聞を見ていて「ん?」と思った次第。
……確か読売だったんだけど、それもネットだと出てこないですね。超小さい記事だった割にインパクト強くて、個人的には大変びっくりしました。
ネットで検索すると、どうやら福島テレビなんかでは放送されていたようです。
高い放射線を出すゲル状の塊が見つかる
福島第一原発では3月2日、1号機北側の排水路で雨水の放射性物質の濃度が高いことを示す警報が作動。
東京電力が現地を調べたところ「排水路の近くで最大毎時5ミリシーベルトのベータ線を出すゲル状の塊が見つかった」という。
大きさは直径50センチ程で、この場所には2013年8月からガレキなどを保管するコンテナが置かれていましたが、3月上旬に移動が完了している。
事故後、第一原発構内で今回のようなゲル状の塊が見つかったのは初めてで、東京電力が分析を進めている。
3/24(水) 19:17配信 福島テレビ
おっと、これ今日新聞で見たのとサイズが違いますよ。同じものだとは思いますが…… 読売……はネットで公開していないようなので、日経。
塊は縦90センチ、横30センチ、厚さは1センチ未満で、表面の放射線量は毎時13ミリシーベルトだった。一般の人の年間被曝限度1ミリシーベルトを大きく上回る水準。すでに回収している。ただ、海側の排水路で放射性物質の濃度の上昇を示す警報が出ており、塊に触れた雨水が排水路に流れ出た可能性がある。
2021/3/26 9:33日本経済新聞
現物の写真は見当たらないのでよく分からないけど、ゲル状だからサイズが固定できないんでしょうかね? それにしても、なんか結構大きい感じじゃないですか。ちょい漏れというレベルではなさそうな。
そして、更に気になるのが「表面の放射線量は毎時13ミリシーベルトだった」という点。
えと……「毎時」で「ミリ」……!!?
めっさやばくない?
原発被災地関連ニュースをよく追っている身としては、「毎時○○マイクロシーベルト」は何となく把握できるようになってきました。
例えば、こちらの記事なんか見ると把握しやすいかと思いますが、現在の帰還困難区域などでよく出てくるのが「毎時4.54マイクロシーベルト」といった、数マイクロシーベルトくらいの数字ですね。
記事によれば原発事故の起きた年には、「170マイクロシーベルト」なんて数字も出てきます。
ところで、「マイクロ」は「ミリ」の1000分の1になります。
除染目標は年間1ミリシーベルトですが、これを「毎時マイクロシーベルト」に換算すると、概ね毎時0.23マイクロシーベルトと言われていますので(なお、単純に単位換算するだけでなく、屋内で過ごす時間は軽減されるだろう等の諸々の考慮が入った数値らしいです)、毎時4.54マイクロシーベルトでもまだ居住できるレベルには程遠いということが分かります。
年間1ミリシーベルトの基準が厳しいとの見解もあるそうですが……それにしたって基準の20倍近いというのはやはり大変なことですね。
で、ゲル状の塊の方に戻りますが、改めて見てみましょう。
毎時13ミリシーベルト
ええと……ということは、5分くらいで一般の方の年間被ばく限度超えるじゃないですか。
何それ怖い。
放射線業務従事者だともっと高めの線量限度にはなってますが、それにしたってちょっと普通の量じゃない気がしますよ。
除去作業した方とかいるんですよね?大丈夫なんでしょうか……。
更にこのニュースで気になるのが、 「福島第一原発では3月2日、1号機北側の排水路で雨水の放射性物質の濃度が高いことを示す警報が作動。 東京電力が現地を調べたところ「排水路の近くで最大毎時5ミリシーベルトのベータ線を出すゲル状の塊が見つかった」という」 で、このニュースが公になったのが3月24日……
おいおいおい、ちょっと東電HPチェックしましょう。
福島第一原子力発電所 物揚場排水路における簡易放射線検知器「高警報」の発生について
2021年03月02日 2021年3月2日
東京電力ホールディングス株式会社
本日(3月2日)午後6時18分、物揚場排水路に設置している簡易放射線検知器(PSFモニタ)の高警報が発生しました。 なお、敷地境界のモニタリングポスト及びダストモニタ、構内ダストモニタに有意な変動は確認されておりません。 現在、状況を確認しており、状況が分かり次第お知らせします。 以 上
警報が鳴ったらしい。
福島第一原子力発電所 物揚場排水路における簡易放射線検知器「高警報」の発生について(続報)
2021年03月03日 2021年3月3日
東京電力ホールディングス株式会社
3月2日午後6時18分、物揚場排水路に設置している簡易放射線検知器(PSFモニタ)の「高警報」の発生について、その後の状況をお知らせします。
簡易放射線検知器(PSFモニタ)指示値は継続して低下傾向にあり、当該警報について午後9時44分、警報はクリアしました。
また、プラント関連パラメータに異常がないことを確認しております。
警報発生後、当該簡易放射線検知器(PSFモニタ)近傍から採取した水を分析した結果は以下の通りです。
<当該、簡易放射線検知器(PSFモニタ)近傍水>
午後6時45分採取(警報発生後)
・セシウム134:<0.95Bq/L
・セシウム137:16Bq/L
・全β :890Bq/L
※不等号(<:小なり)は、検出限界値未満(ND)を表す。
(参考) 3月1日採取(警報発生前)
・セシウム134:<0.66Bq/L
・セシウム137:1.0Bq/L
・全β :3.1Bq/L
※不等号(<:小なり)は、検出限界値未満(ND)を表す。
モニタ指示値が低下傾向にあること、プラントパラメータに異常がないこと及び分析結果から、汚染水の漏えいはないものと考えているが、全βが高い値を示していることから、念のため排水路ゲートを「閉」することとし、引き続き簡易放射線検知器(PSFモニタ)「高警報」発生の原因を調査します。 以 上
なんか確認中みたい。
福島第一原子力発電所 物揚場排水路における簡易放射線検知器「高警報」の発生について(続報2)
2021年03月03日 2021年3月3日
東京電力ホールディングス株式会社
昨日(3月2日)午後6時18分、物揚場排水路に設置している簡易放射線検知器(PSFモニタ)の「高警報」の発生について、その後の状況をお知らせします。
昨日(3月2日)午後11時40分、当該排水路に設置してあるゲートを「全閉」しており、排水路に溜まった水の回収を3月3日午前0時28分に開始し、移送に異常のないことを確認しました。
また、当該排水路から直接採取した水を分析した結果は以下の通りであり、低下傾向であることを確認しました。
<当該排水路水> 3月2日午後10時45分採取
・セシウム134:<0.78Bq/L
・セシウム137:4.4Bq/L
・全β :60Bq/L
※不等号(<:小なり)は、検出限界値未満(ND)を表す。 以 上
ねえ、まだゲル状の塊の話出てこないんだけど?
福島第一原子力発電所 物揚場排水路における簡易放射線検知器「高警報」の発生について(続報3)
2021年03月03日 2021年3月3日
東京電力ホールディングス株式会社 昨日(3月2日)午後6時18分、物揚場排水路に設置している簡易放射線検知器(PSFモニタ)の「高警報」の発生について、その後の状況をお知らせします。 本日(3月3日)午前7時35分、当該排水路近傍の設備について、パトロールを完了し、漏えい等の異常がないことを確認しました。
また、継続して当該排水路の水を回収しており、回収した水については、タンクエリアの堰内へ移送しております。
物揚場前の海水ならびに当該排水路から採取した水を分析した結果は、以下の通りです。
物揚場排水路近傍海水の分析結果については、通常の変動範囲内の値であることを確認しました。
また、当該排水路水の分析結果については、継続して低下傾向を示していることを確認しました。
<物揚場前海水> 3月2日午後11時20分採取
・セシウム134:<0.65Bq/L
・セシウム137:0.64Bq/L
・全β :24Bq/L
※不等号(<:小なり)は、検出限界値未満(ND)を表す。
<物揚場排水路水> 3月3日午前5時5分採取
・セシウム134:<0.52Bq/L
・セシウム137:2.6Bq/L
・全β :23Bq/L
※不等号(<:小なり)は、検出限界値未満(ND)を表す。 以 上
あれ、「異常がないことを確認」しちゃったけど、ゲル状の塊あったんでしょ?どしたの?
福島第一原子力発電所 物揚場排水路における簡易放射線検知器「高警報」の発生について(続報4)
2021年03月09日 2021年3月9日
東京電力ホールディングス株式会社
3月2日午後6時18分、物揚場排水路に設置している簡易放射線検知器(PSFモニタ)の「高警報」の発生について、その後の状況をお知らせします。
物揚場排水路から採取した水を分析した結果、通常の変動範囲内の値であることを確認したことならびに物揚場排水路の清掃を完了したことから、本日(3月9日)午後7時5分に物揚場排水路に設置してあるゲートを「開」としました。
ゲート開前後においてPSFモニタの指示値に有意な変動はありません。また、敷地境界のモニタリングポストおよびダストモニタ、構内ダストモニタに有意な変動は確認されておりません。 β・γ弁別型PSFモニタ(※1)を新設するまでの間は、以下のとおり対応することとします。
① 排水分析の強化(通常1回/日→強化中3回/日)を継続する。
② 現行モニタの放射能濃度750Bq/Lで原因調査を開始し、上昇要因がβ線核種と確認 された場合(※2)には、ゲートを閉止する。
③ 上記②にかかわらず、現行モニタの放射能濃度が1,500Bq/Lとなった場合には、 ゲートを閉止する。
(※2)全β線放射能の分析結果がセシウム137放射能濃度の10倍を超え、かつ全β放射能濃度が200Bq/L以上となった場合
<物揚場排水路水分析結果> 3月9日午前7時20分採取
セシウム134:<0.78Bq/L
セシウム137:0.97Bq/L
全β :2.9Bq/L
※不等号(<:小なり)は、検出限界値未満(ND)を表す。 以 上
「その後の状況」をお知らせされていますけど、ねえ、もっと重大な何かなかったっけ?
福島第一原子力発電所 物揚場排水路における簡易放射線検知器「高警報」の発生について(続報5)
2021年03月25日 2021年3月25日
東京電力ホールディングス株式会社
3月2日午後6時18分、物揚場排水路に設置している簡易放射線検知器(PSFモニタ)の「高警報」の発生について、その後の状況をお知らせします。
物揚場排水路の流域を調査したところ、一時保管エリアW2で比較的線量が高いゲル状物質が発見されました。同物質は、保管していたコンテナ下部のアスファルト上に確認されたもので、昨日3月24日、ゲル状物質が70μm線量当量率において、13mSv/hの線量を確認しました。
また、当該箇所付近に保管していた複数のコンテナのうち、1個のコンテナにおいて、側面下部の一部が腐食していたことを確認しています。(3月2日に補修済み)
本日3月25日、腐食が確認されたコンテナの蓋を開けて、上部から調査したところ、震災後の作業で発生したウエス(布や紙)や養生シート、樹脂製配管等の廃棄物がビニール養生されている状態で保管されており、70μm線量当量率において10mSv/hの線量を確認しました。このことから、当該コンテナには、上記廃棄物以外にも70μm線量当量率の高い廃棄物が保管されていることが考えられます。
以上のことから、コンテナ内に保管されていた廃棄物がコンテナの外に流出した可能性が否定できないと考えております。
このことから、本日午後6時25分、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第62条の3に基づき制定された、東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則第18条第11号「発電用原子炉施設の故障その他の不測の事態が生じたことにより、核燃料物質等(気体状のものを除く)が管理区域内で漏えいしたとき。」に該当すると判断しました。
ゲル状物質については、3月24日に回収し、周辺の地表面上へ除染材(塗膜剥離型除染材)の塗布、シート養生、および土のう設置を実施しました。今後、準備が出来次第、当該地点周辺の地表面のはぎ取りを行います。
また、敷地境界のモニタリングポストおよびダストモニタ、構内ダストモニタに有意な変動は確認されておりません。
当該排水路のPSFモニタ高警報が発生した原因調査を継続するとともに当該排水路における放射能濃度の監視を継続してまいります。 以 上
あー……ゲル状の塊が見つかったのは24日なのね……だからこれまで出てこなかったのか。
って、ちょっと待って、 「当該箇所付近に保管していた複数のコンテナのうち、1個のコンテナにおいて、側面下部の一部が腐食していたことを確認しています。(3月2日に補修済み)」
え、3月2日から全部見て行ったけど、コンテナ腐食してたことも補修したことも言及されてないんですけど。 どうなってんの?????
おかしいじゃん、3月2日に放射線検知器の警報が鳴って、同日コンテナ補修したんでしょ?もうその時点でコンテナからの漏洩明らかだったじゃん?
何でしれっととぼけて検知器付近の排水の報告とかしてるのよ。
そんで12日も経ってから「なんかゲル状の塊ありましたわ〜」って?
嘘嘘、コンテナ腐食見つかった時点で、「なんか漏れたんじゃないの?」って普通調べるじゃん!
なぜ……なぜ今更…… まさか………
ええとさ、聖火リレーの実施確定してから情報出したとかってこと、ないかな?
あの、報道機関各社さん、これちょっとキツ〜く絞っていただけません?
こんなの放置したらダメでしょう!