職場で徹底抗戦した(3)お客様の声の力
<前回までのお話>
部長代理がまとめた会議録は改竄されていた!?
まことしやかに語られる「本件の特殊事情」。
議事録を取り戻した我々は、ついに、部長を喚問することに。
また無駄に煽りました。
文書化の効能、もう一歩
ついに検討会議の場に出て来た部長。
我々の投げた質問事項に対する回答をしてもらうことになりました。
こちらが質問事項を用意した甲斐もあり、一つ一つ順に回答してもらえました。
一応。
しかしながらその内容と来たら・・・出るわ出るわ、とてもじゃないがお客様に出せないどうしようもない屁理屈の数々。
建前上は「お客様のために多様なサービス展開を」なんですが、その実をみると、それでメリットを受ける客が一人として思い浮かばないレベル。
それで一体誰が得するのか、具体的に挙げてみろ、と投げかけたのですがグダグダと話をはぐらかした挙句、「それをお客様に寄り添って考えるのが現場の仕事だ」という超理論をぶちかまされ、その日の会議は終わりました。
その新サービス考えたの部長じゃん。
何が動機なのかは分かりませんが、部長の意思は堅く、翻意させることは難しそうです。
となると、最終的に決定権を持つ専務に直談判しなければなりません。
お客様の声の持つ力
部長の言っていることがおかしいのは、会議録や質問事項と回答書を見れば一目瞭然です。
しかしながら、副部長が言うように、専務に話が行っているなら、専務もまたサービス変更を肯定的に考えている可能性は高いでしょう。
このサービス変更案がお客様のニーズに合わないことを分かりやすく説得しなければなりません。
幸い、お客様の声に最も接するのは、我々現場の従業員です。
それらはひとつひとつ記録されています。
大変有難いことに、現行サービスへの感謝の言葉や、弊社に対するご期待の言葉を、折に触れ頂戴しております。
また、弊社の現行のサービス理念と反するような対応があった際のお叱りの言葉なども、翻って現行サービスへのお客様のご期待と言うことができます。
現行サービスがいかに支持されているかという根拠となるお客様の声が、あっという間に集められました。
我々は、これを参考資料としてまとめ、現場従業員の意見書を作成しました。 そして、管理職の中でもサービス改悪に危機感を抱く方を巻き込んで、これを専務に見せに行くことに成功したのです。
勝利
専務は意見書と資料を見て、冷静に、部長の新サービス案を撤回させました。
そして、この騒動のせいか否かは分かりませんが、部長は人事異動で別の部に移りました。
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お客様の声として肯定的な意見をお寄せいただく方は、きっと応援のお気持ちでおっしゃっていただいていることと思います。
また、お叱りの声の裏側に、弊社に対する期待の気持ちを感じます。
我々がこの騒動で徹底抗戦を貫いたのは、やはりこの応援や期待に応えたかったというものが大きいと思います。
しかし、ここに来て、お客様の声は単なる応援などにとどまらず、実際に組織を動かす正当性のひとつになったのです。
もちろん、お客様には、この間のゴタゴタのことなど伝わりません。
下手したら、従業員にも「部長が変わったから変わった」としか認識してない人もいるでしょう。
でも、お客様の声のおかげで、内部で戦った我々が勝てたのです。
声を上げることには実は大変大きな意味があるのだと、企業の内側から感じた出来事でした。