今だから読みたい『白暮のクロニクル』
気付いたら2月ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
このところ「仕事&育児」or「現実逃避の漫画読み」で忙しく
全くブログに手をつけていませんでした。
Twitterもかなり留守気味でしたけれど、どうにか生きています。
前回の記事が何やらすごいことになっていたようなのですが、もはやコメント多すぎて読めてません。そのうち読みます。
ところで、鬼滅の2期も始まりましたし、すごく紹介したいな〜と思っていた漫画のことを書きます。
これが鬼滅の刃とどう関係するのかというと、すごく似たような存在が出てくるんですよ、鬼滅の「鬼」と。
『鬼滅の刃』の鬼は
・超人的な生命力があり普通に攻撃しても死なない
・日の光には弱く、太陽光線を浴びると焼け死ぬ
・人が鬼から血を分け与えられることで鬼と化す
という性質がありますね。
『白暮のクロニクル』に出てくる「オキナガ」という存在は、これとそっくりそのまま同様の性質を持つ存在…なのですが、『鬼滅』とはかなり実態や描かれ方が異なります。
なお、この極めて類似した設定はどちらかがパクったとかいう話ではなく、まあ吸血鬼あたりをモチーフにするとこうなるよね、というものだと思います。
他にも似たようなのありますしね。
ここから軽いネタバレを含む話
鬼滅を読んだとき、ぐっと惹かれたのは「鬼の側の事情」を割としっかりと描いているところ。
この人が鬼になったのはこういう事情があったのか。
これは結構気の毒なのでは。
悪いのは鬼ではなく社会の方なのでは。
なんてことを考えさせられるあたり、犯罪加害者の情状酌量のような感じなのですよね。
主人公炭治郎が、一方的に相手を「悪」として断罪するのではなく心を寄り添わせるあたりが、この物語を単なるバトル漫画以上のものにしていると思います。
が、この作品ではあくまで「鬼」は滅ぼすべき敵なんですよね。
他方の『白暮のクロニクル』では、「オキナガ」がどういう存在かというと…
「長命者」というマイノリティで法の下に保護(という名の管理)されています。
「長命者援護法」なる法律の下、厚労省の「夜間衛生管理局」の所管で登録され、月に一度の健診が義務付けられています。何その妙にリアルな設定。
よほどのことがない限り死なず、オキナガ化した時の外見と健康状態を保ったまま何百年と生き続ける彼らは、意外と気楽に根無草的な生活を楽しんでいたり。世間のイメージほど攻撃的なわけではない彼らは人間社会にそれなりに溶け込んでいるように見えます。
ところが、話が進むにつれ、色々と深刻なことも明らかになっていきます。
オキナガの戦争利用、戦後間もない時期になされたオキナガの生体解剖、現代のオキナガ迫害、保護の名の下での管理強化、などなど。
戦中戦後の様々な人権侵害や、ハンセン病患者の隔離政策、生活保護バッシング、各種マイノリティ差別などを思わせるような色々な描写をこれでもかと放り込んでおきつつ、話の筋はとある連続殺人事件の謎を追うオキナガと新人公務員を中心に据えてハラハラするミステリー仕立てにもなっているとか、ゆうきまさみはやっぱりすごい。
もうすぐ節分ですが、本当に「鬼は外」でいいのかと考えさせられる作品。
興味が湧いたら是非読んでみてください。
今週のお題「鬼」