お年玉ありがとうございます。小野不由美『残穢』
新年です。きっとこの年越しはあまりめでたくもない気分の方も少なくなかったことでしょう。
どうか去年より一つでもマシな世の中にできますように。
ぼちぼち頑張っていきたいと思います。
お正月ですが、今年は初詣もする気ありませんし、親族とも会っていません。
親が現代のITに付いて行けてる人で良かった。LINEでビデオ通話しました。
STAY HOME…慣れましたけど、なんだかね。
あとね、本当に後悔しないように生きようと思います。
欲望に塗れた人間なので、どのタイミングで人生が終わったとしても「あ、もう一度だけあれが食べたかった」とか「まだ何も成し遂げられてない」とかきっと思ってしまうんだろうけれど。
道半ばでも良いから、やりたいと思ってたことはやってみようと。改めて。
さて、ありがたいことに欲しいものリストからお年玉を贈っていただきました。
伏して御礼申し上げます。
ちょうど元旦の朝、ポストに入っていました。
この歳になってお年玉をいただくことは久しくなかったので、子どもみたいに舞い上がってしまいました。
(そして、「私のお年玉は?」と子に催促されました。ちゃんとあげました)
し、か、も、これ。
最近小野不由美にどっぷりハマっているので、ものすごく嬉しいです。
前の記事で書いた通り、凄く怖そうなので取り組むまで時間を置いていたのですが、読むと決めてリストに挙げたもの。
手元に本が来れば読まずにはいられないので、初夢がホラーでも良いやと意を決して読みましたとも。
[※ネタバレ注意]
残穢読了。
— わんおぺまむ@本当に寝ていたい (@OneopeMam) 2021年1月1日
なんだこれ、なんなんだこれ、どう言い表していいか分からないんだけど。
怖かった…というか、怖い。
怖がりだけれど怪談やオカルトは基本的に眉唾と思っている私を(というより、むしろそれくらいの感覚の読者をこそ)引き込む、圧倒的な力があります。
同著者の『ゴーストハント』シリーズも最近読んでいるのですが(こちらはかなり軽いタッチの少女向け小説)、著者、基本的に心霊現象に懐疑的なスタンスを取ってますよね。
幽霊の正体見たり枯れ尾花、的な。この現象はこういうことで説明が付くでしょう、と。
なのに、次第にそれが確かな怪異へと引き込まれていってしまうのです。
背景には、かなり実際の事件や社会現象を組み込んで描かれているので、それがまた、すごい厚みをもった説得力を与えていきます。津波のようにリアルを押し込んでくるの。凄まじい。
怖いですね。
しかもただ「幽霊が」「怨霊が」とかいうのではなく、根底にあるのは人間そのものの怖さなんではないかというのがあって。
……背筋が凍るじゃないの。
で、読み終わってからまた写経してみました。ひとまず最初の異変出現シーン。
十二国記のときと違って、漢字変換は容易。現代日本が舞台だからでしょうね。
出てくる物が日常的な物なので、そう難解な単語や漢字はなくて良いようです。当該シーンでは唯一「坐る」くらいだったかな、難しめの漢字使ってたのは。後の方のシーンはまた違うかもしれないので、また後日写経してみます。
基本的には一人称(著者目線)で、聞いた(読んだ)話の伝聞+著者が直接見聞きしたことという形で書かれています。最初は割と取っ付き易い雰囲気に思えます。
最初の異変は「音」。単なる生活音にも聞こえる程度の小さな音で、それが何か妙だということを説明するのに、音から想像される動きや光景の描写がされ、発生源を探したり、どんなシチュエーションで鳴るのか試してみたりと、登場人物の動きが描かれます。
これだけなら、さほど怖さは感じません。
ただ、この先を進めると怖さのポイントが増していくんですよね。
サイコロで狙った目を一度出しても偶然と思うけれど、それが二回、三回と続いていけば偶然で済まなくなるように、この先次第に「偶然」の余地が潰されていきます。
それは、心霊現象に対して懐疑的なスタンスによってだったり、住人が長続きしない部屋という評だったり。謎が広がったり狭まったりしながら、徐々に法則性をもった必然に絞り込まれていくのがもうね、「上手いなあ!」と唸らされます。
ほんと、どういう頭してたらこういう作品書けるんだろう。
『魔性の子』からの十二国記シリーズもそうだけど、作者実は異世界に住んでるんじゃないかと思います。
一から読んでいくと「一体どうしたらこんな話が思い付くのか」という気になるのに、後から見ると「この話は必然だな」と思える。となると、著者には描くべき結論が先に見えているんじゃないかなと。
ここまで凄いものは書ける気がしないけれど、結論にもって行くための必然性を考えてストーリーを作ってみるのは良いかもしれない。
ちょっと試してみようかな、と思います。
贈ってくださった御方、誠にありがとうございました!
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